「政治とカネ」で揺れる民主党の小沢一郎幹事長に、“地方の乱”が直撃した。地元・岩手県内の市長選で県連が推薦した候補が敗れたほか、岐阜県連の大会では小沢氏の幹事長辞任を求める決議案が提出されかけたのだ。鳩山内閣や政党支持率は下落を続けており、列島にうっぷんがたまっているのは間違いない。
小沢氏の地元で、先の総選挙では県内4選挙区で民主党が全勝した“小沢王国”岩手県で、異変が起こった。14日に投開票が行われた久慈市長選で、現職の山内隆文氏(58)が、元県職員の遠藤譲一氏(56)ら2人を破り再選を果たした。
同市は小沢氏の選挙区ではないものの、敗れた遠藤氏は民主、社民両党の県組織の推薦を受け、特に民主は県連の総力をあげ、連合も支援。小沢氏の側近である達増拓也知事も選挙期間中、2回も応援に入ったが、「政治とカネ」をめぐる民主党への不信や鳩山内閣の支持率低下などが響いた。
民主党関係者は「同日行われた小沢氏の地元・奥州市長選では、小沢氏の後援会が支援した新人が勝った。こういうこともある」と語ったが、民主党中堅議員は「小沢王国でさえ負ける。逆風は想像以上だ。このままでは参院選に勝てない」と頭を抱えた。
一方、岐阜県ではついに不満が爆発した。
13日に岐阜市で開かれた民主党岐阜県連大会で、一部党員が小沢氏の幹事長辞任を求める特別決議案を動議として提出したいと発言、大会が一時紛糾したのだ。
緊急特別動議は、地方議員ら十数人が連名で作成。内閣支持率の低下、北教祖による裏金問題などを指摘し、「この党の命運をかけたピンチを切り抜ける道は唯一、国民の目線に遵(じゅん)ずることですなわち『小沢一郎幹事長の辞任である』」と直言している。
結局、議事に予定されていなかったため動議は認められず、県連執行部は党本部に意見書を提出することで事態を収拾した。
毎日新聞が15日に発表した世論調査では、内閣支持率は前回比6ポイント減の43%、民主党支持率も同6ポイント減の28%。「小沢氏は辞任すべき」が同7ポイント増の76%にのぼっている。時事通信の世論調査では、内閣支持率は「危険水域」の20%台に迫る30.9%にまで落ちた。